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不登校の原因さがしについて

◆子どもが不登校になると…

 子どもが不登校になると、多くの親は「どうして家の子どもが…」とショックを受け、担任は「何で…」と思い悩みます。そして、子どもに「どうして学校に行かないの。」「何か嫌な事があったの。」と「原因探し」を始めることが多いです。「クラスの人たちにいじめられているのではないだろうか。」「勉強についていけないのではないだろうか。」「友だちと何かトラブルがあったのではないか。」「先生の指導が厳し過ぎるのではないだろうか。」「育て方が悪かったのではないか。」「親の対応に問題があるのではないだろうか。」「この子の性格が問題なのではないだろうか。」と思いをめぐらします。
 子どもに学校に行かない理由を尋ねると、「理由がなくて学校に行かないのはいけない。」と思っている子どもは、今思いつく嫌なことを話します。子どもが「原因らしきもの」を口にすると、親と教師はその解決をはかり、子どもを学校へ行かせようとします。
 例えば、「先生(の体罰)が怖い。」と子どもが言うと、その解決をはかったり、進級する時に優しい教師のクラスにしたりして登校を促します。場合によっては転校をさせたりして登校を促すこともあります。学校に行かない原因が解決すると、学校に行かなくてはならなくなる瞬間です。しかし、「原因(らしきもの)」を解決しても、登校できない子どもたちは少なくありません。どうしてでしょうか?

◆原因さがし

 不登校を経験した子どもたちに当時のことを尋ねても、「どうして、不登校をしたのかわからない。」と答えることがほとんどです。明らかにいじめをうけて学校に行けなくなったケースの子どもに尋ねても、「いじめも原因かもしれないけど、それだけじゃないと思う。」「いじめはなくなったけど、どうしてか行けなくなったのかわからない。」という答が返ってくることもあります。つまり、不登校の原因を特定することは当事者の子どもにもむずかしく、様々な要因が絡み合っているということでしょう。また、原因が解決しても、心の傷を癒し、本人がおりあいをつけて、ためには、それなりの時間が必要だということでしょう。
 ただ、原因探しに意味がないとは思いません。深刻ないじめや体罰などは、子どもの不登校に関係なく、解決にむけて努力しなくてはならないのは当然の問題です。
 学習のつまずきが不登校のきっかけとなることもあります。発達障がいが関係しているケースもあります。こだわりの強さから学校生活に適応できにくい場合もあります。それらは、「不登校支援」というよりも、一人ひとりの子どもの発達を促すための支援・指導の工夫であり、学校に来させる(行かせる)ために行うことではありません。
 いずれにしても、親や教師が「どうすれば、学校に行くのだろう」と不登校の「原因探し」ばかりして、その解決をしながら登校を促していると、子どもに対して「今の(不登校をしている)あなたはダメ」「早くみんなと同じように学校に行かなければいけない」「不登校は悪いことで、早く良くならなければいけない。」というメッセージを送ることとなります。

◆原因の解決とは?

 以前に、斎藤環氏(筑波大学教授)の講演を聴く機会がありました。そこで「不登校は、外的な原因の有無を確認することが大切。原因があれば、それを解決しなくては子どもは元気にならない。」「解決とは①不登校の原因となった人の謝罪→②その人の処分→③不登校の子どもの納得」という話をされました。
 書面での質問コーナーがあったので、「そうした原因さがしは『犯人捜し』にならないでしょうか」と質問をしました。斎藤氏の回答は「私は犯人捜しをしなさいと言っているのです。」でした。ただし、その犯人捜しの目的は、子どもを学校に行かせるためではありません。子どもに元気を取り戻させるためです…とのことでした。
 確かに、子どもが学校に行けなくなるくらいに元気がなくなった原因を見つけることが大切な場合もあります。しかし、それは相手に謝罪をさせ、相手を処罰するためではありません。「犯人」に謝罪させ、「犯人」を処罰すれば、不登校の子どもは本当に元気になるのでしょうか。そもそも、不登校の子どもが元気になる「処罰」などあるのでしょうか。
 いじめが原因で不登校となった時は、子どもがいじめを受けてどれほど辛い思いをしたかを誰かにわかってもらうことが求められます。子どもは傷ついた心のこえを聴きとってもらうことで、少し元気になれます。
 また、いじめた人を憎んでいる場合も、その憎しみはおりあいをつけるのに時間をかけて良いと認める事が大切です。簡単に「憎しみをもっていたら前に進めないよ。」「そんな人のために、自分の人生をダメにしてはもったいない。」などと、アドバイスすることではありません。
 子どもが元気になることを目的とする「原因さがし」は、不登校の子どものつらさや苦しみや悲しみの理解を深めるためにすることが大切なのであって、「犯人の謝罪と処罰」のためにしていたら、結局不登校の子ども自身も苦しむ立場に追い込まれていくこととなります。

大分合同新聞朝刊 2017年6月23日

20170623大分合同新聞朝刊・ひきこもり情報誌

大分合同新聞の朝刊で、ひきこもりの情報誌「IBASYO」のことが取り上げられました。
その記事を読んで、問い合わせがたくさんありました。
当事者や、不登校・ひきこもりで悩んでいる家族の元に届き、少しでも役に立てたら良いのですが。

ひきこもり情報誌 IBASYO ⑦

中学校卒業後の道

ひきこもり・不登校をしている青年たちと一緒に情報誌(全66ページ)を創りました。
当事者ならではの視点に満ちた内容となっています。表紙
情報誌に掲載されている内容については、このホームページで少しずつ紹介致します。

希望する方には、無料で差し上げています。
ただし、送料はご負担下さい。
希望する方は、お問い合わせのフォームでご連絡下さい。
尚、冊数に限りがあります。
なくなりしだい、無料での配布は終了致します。

昔と違い、不登校だった人たちが高校に進学する所はとても多様です
大切なことは、自分にあった道を選ぶことです
ここで紹介するのはごく一部です
誰かに相談しながら考えて下さい
しっかり悩んで自己決定して下さい

卒業後の道-1
本文卒業後の世界

つらさを受けとめるということ④

子どもの声なき声を聴きとる他者

 「子どもの苦しさを受けとめるだけで良いのでしょうか?」
 「そんなことをしていたら、ますます子どもは学校に行かなくなるのではないでしょうか?」
 そうした声を聞くことがあります。親や教師にしてみれば、ある意味当然の思いかもしれません。解決を求める大人と今を精一杯生きている子どもとの間に生まれるすれ違いです。

 大人が、不登校の子どものつらさを受けとめることは、子どもにとってはどのような意味があるのでしょうか。
 不登校をしている子どもたちの中には、自分の苦しみを抱えきれずに「身体症状」や「問題行動?」として吐き出す場合が多いです。「こんな自分ではダメだ」「学校に行って頑張っていた前の自分に戻らないと…」と自分自身を責めながら、絶望感に押しつぶされそうな子どもたちです。また、自分を責めるのではなくて「こんな自分にしたのはお前たちだ。」と、親を責める子どももいます。夜中に「コンビニで漫画を買っって来い」と無理難題をいう子どももいます。
 しかし、それらは裏を返すと「不登校をしている自分」を否定しながらも、どこかにわかってくれる相手(他者)の存在を求めている行動でもあります。苦しいながらも今を精一杯生きていることをわかってくれる人を求めている行動でもあります。
 そうした子どもは、苦しみを共有し共に歩んでくれる人の「本気の応答」が得られると、自分を見つめることができます。周りの大人(社会)が認めないために、自らも否定してきた「不登校をする自分」を認めながら、これからどうしたいのかを考えようとし始めます。
 アキ(仮名)は、小学2年生の時にいじめをきっかけにして不登校を始めました。ランドセルをひっくり返すという「問題行動」によって、母親を含めて周りの大人は学校に行かないことを認めてくれました。それからの5年間の不登校生活は、それまでに比べて比較的安心感のあるものでした。
 やがて、思春期を迎えるアキ。母親からの心理的自立を始めるアキは、母親以外の共感的他者が必要となってきたようです。通常は友だちですが、学校に行っていないアキには、そんな友だちはいません。そこで、スクールカウンセラーの相談室のドアをたたくことにします。
 アキの何気ない話を受けとめ、反応を返してくれるカウンセラーとのやり取りの中で、アキはどうしたいのかを考え始めます。考えることも学ぶこともやめてきた自分、傷つけられそうだったから誰かと親密な関係を結ぶことを辞めてきた自分、未来を考えることにフタをしてきた自分‥‥。それらは、これまでは自分を守るために必要でしたが、今のアキには少し違う。それまでの自分と別れを告げて、誰かと関係が結べる世界に足をつけることにしました。
 高校3年生になったアキは、不登校シンポジウムのシンポジストとして参加します。「いつまで待てば良いのですか?」の質問に「永久に待ってほしい」と答えました。それは、共感的他者(母親やスクールカウンセラー)の「本気の応答」によって、自分自身を見つめ変えてきた実感から出てきた言葉です。

NHK大分放送局「しんけんワイド大分」に出演 2017年6月6日

2017年6月6日(火)の「しんけんワイド大分」(18:10~19:00)という番組で、親の会のことについてお話ししました。
「1学期のこの時期に、不登校で悩む家族が増えていること」
「そうした時に、なぜ親の会が必要なのか」
「例会ではうまくいかないこと、子どもへの陰性感情を言葉にする事がなぜ大切か」
「親の会で体験を交流することで、ささやかな幸せに気づくようになる。そうすると、子どもは自分を見つめることになる」
等々についてお話ししました。