ひきこもり情報誌 IBASYO➀

はじめに

ひきこもり・不登校をしている青年たちと一緒に情報誌(全66ページ)を創りました。
当事者ならではの視点に満ちた内容となっています。
情報誌に掲載されている内容については、このホームページで少しずつ紹介致します。

希望する方には、無料で差し上げています。
ただし、送料はご負担下さい。
希望する方は、お問い合わせのフォームでご連絡下さい。
尚、冊数に限りがあります。
なくなりしだい、無料での配布は終了致します。

はじめに

ついに、ひきこもりの当事者たちの手による情報誌ができあがりました。取り組み始めたのは2015年の6月ですから、およそ20ヶ月の時間をかけて作成したことになります。時間がかかったことは良くないこともありましたが、ゆっくりとした歩みの中でこそ生まれる物もありました。

表紙作成するきっかけは、星の会(不登校を考える親の会)の例会で出されたある母親のささやかな願いからでした。「うちの子どもが『同じひきこもりの青年と会いたい』って言っているけど…。」

みんなでどうすれば良いか考えました。

「同じ立場の人たちで集まる『しゃべり場』を開いたらどうだろう。」と提案してみました。ひきこもりを経験した青年が「そんな所には誰も行かないと思いますよ。」とバッサリ。「バスハイキングとかしたら良いんじゃない?」とあるお母さんが言いました。「ますます、誰も行かないでしょ。」と笑顔で答える青年。

いろいろ考えて、ひきこもりのことを伝える情報誌を作るために参加を呼びかけることになりました。情報誌の作成をきっかけに、ひきこもりの経験者や当事者が集まるのです。

当初、3名の青年と青少年自立支援センターの衞藤さんと加嶋の5人でスタートしました。話し合いは情報誌のことに留まらず、日常生活へと広がっていきます。「好きなゲームのこと」「今、夢中になっていること」「アルバイトのこと」…。

ある青年が、「せっかく始めたアルバイトだけど(2週間で)辞めようと思っている」と相談しました。理由などを聞き共感したり、辞め方の方法を一緒に考えたりします。(アルバイトの続け方ではなくて、辞め方を一緒に考えるなんて、当事者の集まりならではのことです。)そのうちに、「もう少し頑張ってみた方が良い」とアドバイスを始めました。その青年は、1ヶ月以上アルバイトを続けました。

しばらくすると、参加するかどうかを迷っていた女性の青年がひょっこり顔を見せてくれました。その青年のつながりで、新しい青年が参加してくれました。星の会繋がりで他の青年も参加してくれました。いつの間にか、10人の青年が参加してくれるようになりました。仲間が増えると、活動の幅は拡がり元気が出てきます。

編集会議以外にも、連絡を取り合いながら交流をするグループも自然に生まれました。情報誌の作成をきっかけにして、経験者と当事者が繋がることが出来たと思います。

情報誌作成にあたっては、「書きたいことを書く」「描きたい絵を描く」を大切にしました。「誰かの役に立つ物を作る」というよりも、「当事者たちが書きたい物を作れば、それが誰かの役に立つかもしれない」と考えました。

1ヶ月に1回のペースで編集会議をしたため、あまりこだわらないようにもしました。こだわりすぎると進まなくなるからです。また、せっかく書いた原稿にあれこれ意見を言うのもひかえました。それは善意であったとしても、その人にプレシャーを与えてしまいそうだったからです。アドバイスや提案は一応しますが、それを取り入れるかどうかは本人に決めてもらうようにしました。第4章の「中学校卒業後の道 ~自分に合った道を選ぼう~」だけはチームで取り組み、意見を重ねながら原稿を仕上げました。

ですから、手にして読まれる際に、内容と共に、その原稿を書いた本人の「今を大切に生きている思い」を感じていただければ幸いです。

この情報誌は、編集会議に参加してくれた青年だけで作る事は出来ませんでした。

編集会議には参加できないけど、協力してくれる青年も出てきました。一人はイラストを寄せてくれた翠雨さん。そのイラストは、子どもの心の世界の一面を見事に表現しています。音声を起こすのを手伝ってくれたOさんは、メールでしか交流はありませんでしたから顔を知りません。でも、いろいろ詳しくて、データのやりとりの方法などをアドバイスしてくれました。

会場も駅から歩いて行ける所が良いということで、「青少年自立支援センター」の一室を使わせていただけるようになりました。「映画とトークで拓くひきこもりの世界」というイベントでは、映画監督の榎園京介さんの協力もありました。印刷製本の費用については、グリーンコープの「100円基金」から補助をしていただけるようになりました。

たくさんの方々の支えによって、何とか発行することが出来ました。ありがとうございました。

この情報誌が、一人でも多くの青年の元に届くことを願っています。

 

不登校・教育研究所「明日(あした)が見える」

所 長    加嶋文哉