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不登校をどう理解するか➀

30年前の古い不登校理解

不登校について様々な考え方があります。
子どもの性格に問題がある、親の育て方に問題がある、発達障害だから…。
それは、不登校という状態をどうにかしようとこだわり過ぎて、
解決?のために原因を探そうとすることからおこる誤りです。

 不登校は、かつては子どもの性格に問題があると考えられていました。不安傾向が強い、集団への適応性に欠ける、社会的・情緒的に未成熟など不登校を起こしやすい性格があって、それが何らかのきっかけで不登校になるというふうに考えられていました。
 また、不登校を起こしやすい子どもの性格は、家庭に起因すると考えられていました。そのため、親の育て方が問題視されました。
 不登校を一種の心の病ととらえる傾向も見られました。閉じこもり・家庭内暴力・昼夜逆転の生活などの不登校の状態は、精神病の初期症状とみなされる場合があり、その対応には精神科医や臨床心理士などとの連携も必要というものでした。
 つまり、不登校は「特定の子どもの特有の問題があることによっておこる」と考えられていたのです。今から30年前の話です。

 しかし、不登校の子どもの人数が増える状況の中で、それにあてはまらない子どもがたくさん出てきて、「特定の子どもに不登校になりやすい特有の問題がある」という考え方に疑問がもたれるようになってきました。

 1992年に文部省(当時)は次のような報告書をまとめました。

登校拒否はどの子にも起こりうるものである、という視点に立って登校拒否をとらえていく事が必要であるということである。(中略)つまり、登校拒否は特定の児童生徒の特有の問題があることによって起こるといったパターン化して予測されるものではなく、児童生徒がある程度共通して潜在的にもちうる「学校に行きたくない」という意識の一時的な表出として登校拒否となるケースもあるという事である。
(学校不適応対策調査研究協力者会議最終報告の4章-1より)

 つまり、「不登校はどの子にも起こりうる」という考え方に変わっていきました。
この認識は、その後の「不登校に関する調査研究協力者会議」の最終報告(2016年7月)においても引き継がれています。

 実際に星の会(会員数230名の不登校を考える親の会)の会員さんやその子どもを見ても、特に子どもの性格に問題があったり、子育ての仕方に問題があるとは思えません。
 確かに、不登校になった子どもの中には不安傾向が強かったり、幼児がえりをしたりする子どもはいます。しかし、それは学校生活においていじめや交友関係など不安になる状況があったり、不登校になった結果起こることで、子どもの性格が原因ではありません。
 また、子育てに失敗はつきものですから、不登校の原因を子育てのあり方に見つけようとすれば、何らかの理由らしきものが見つかるのは当然です。